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2つの円の束(GeoGebraの利用例)

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2つの円の束 方程式 eq1:$x^2 + y^2 = 5$ で表される円と eq2:$x^2 + y^2 - 2x - 3y + 5 = 0$で表される円との2つの共有点で表される図形 本ページのQRコード

高校で習わない積分の定義

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タイトル通りです(笑) 高校で習った定義に触れながら,本来の定義を学びましょう。 高校数学では以下のように学習したと思います。 高校数学における積分の定義 不定積分を微分の逆操作であると定義する。すなわち, \[ F'(x) = f(x) ~\mbox{のとき,}~ \int f(x) ~dx = F(x) + C ~~~(C:\mbox{積分定数}) \] と定義する。また,定積分は,$\displaystyle \int f(x) ~dx = F(x)$ として, \[ \int_a^b f(x) ~dx = F(b) - F(a) \] で定義する。 さて,ここから面積による積分の定義と微積分学の基本定理の証明を見てみましょう。 初めて見ると,紙面だけではキツいかもしれません。 数学の先生等に聞きながら,理解するといいと思います。 大事なのは 積分は面積から定義される 最初に定積分から定義する という点です。こうすることで, 「積分は微分の逆操作である(微積分学の基本定理)」 を 証明することができます 。 積分すると面積が求まるのはなぜ?と疑問に思っていた方も多いと思いますが,「そのように定義されているから」というごく当たり前の理由です。 ちなみに高校数学では,積分すると面積が求められるという「性質」として学習をするため,誤解を招きやすい分野でもあります。 まずは定積分の定義から リーマン和の極限値による定積分の定義 $f(x):$ 開区間 $[a,~b]$ で定義された有界関数 $[a,~b]$ を $n$ 個に細分化し,その分点を $a$ に近い方から順に $ x_0,~ x_1,~ x_2,~\cdots,~x_n $ とする $[x_{k-1},~x_k]$ に属する任意の $x$ 軸上の点の座標を $(\xi_k,~0)$ とする リーマン和 : $\displaystyle S_n = \sum_{k=1}^n (x_k - x_{k-1}) f(\xi_k)$ リーマン和の極限値 $\displaystyle \lim_{n\to \infty} S_n$ が存在するとき,その極限値を $f(x)$ の $ a \leqq x \leqq b $

数列まとめ

数学B・数列の公式まとめ だいぶ長い間,更新をサボってしまいましたが… この間にいろいろ作ったので,公開していきます。 数列に関しては,パターン化しやすい分野なので,どのような手順で解くのかを押さえましょう。 理想としては,問題を見てパッと解く流れを考えてから解答作成に取り組みたいですね。 $\{a_n\},~\{b_n\}$ を数列(実数列)とし,$\{a_n\}$の初項を $a$ とする。  一般項の公式(☆) 等差数列:$a_n = a + d(n-1)$($d:$ 公差) 等比数列:$a_n = ar^{n-1}$($r:$ 公比) 階差数列:$\displaystyle  a_n = a + \sum_{k=1}^{n-1} b_k$($b_n:$ 階差数列) 数列の和の求め方  $\Sigma$計算の 前提1 :$\displaystyle \sum_{k=1}^n a_k = a_1 + a_2 + \cdots + a_n$    (例) $\displaystyle \sum_{i=3}^m a_i = a_3 + a_4 + \cdots + a_m$ $\displaystyle \sum_{k=1}^m a_n = m a_n$($n$ は $k$ と関係ない文字) $\Sigma$計算の 前提2 :$\displaystyle \sum_{k=1}^n ( \alpha a_k + \beta b_n ) = \alpha \sum_{k=1}^n a_k + \beta \sum_{k=1}^n b_k$($\alpha,~\beta:$ 任意の定数) (参考)このような性質を数学においては「線型性」という。 $\Sigma$計算①:$\displaystyle \sum_{k=1}^n k = \dfrac{1}{2}n(n+1)$ $\Sigma$計算②:$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^2 = \dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1)$ $\Sigma$計算③:$\displaystyle \sum_{k=1}^n k^3 = \left\{ \dfrac{1}{2}n(n+1) \right\}^2 $  等比数列の和

(数学基礎1-3)・有理数と無理数①

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数学の基礎のお勉強 第1章「命題と論証,数の世界」 第3講「有理数と無理数①」 「 数学の基礎のお勉強 」のシリーズの記事です。 またまた更新をサボってました… 記事の意図は上のリンク先を参照してください。 さて,最近Twitterで炎上してるこの画像はご存知でしょうか。 これについてのコメントは,私の愚痴が大半を占めるので一番下に回します。 ここでは, 正しい定義 を学びましょう。 前の記事 では,無理数が「実数のうち有理数でないもの」ということを最後に述べました。 では,有理数の定義は何でしょうか…? 順天堂大学の過去問を用いて学びましょう。 問題 【2010年 順天堂大学・医学部 改】 (1) 有理数の定義を与えよ。 (2) 有理数の和・積はまた有理数であることを示せ。 (3) 命題の逆の裏を何というか。 (4) $\sqrt{6}$ の定義を述べよ。 (5) 「自然数 $a$ が素数 $p$ の倍数であり,自然数 $b,c$ によって, $a=bc$ と表されるならば,$b$ または $c$ の少なくとも一方は $p$ の倍数である」という事実が知られている。この事実を用いて,$\sqrt{6}$ が無理数であることを背理法で証明せよ。 知識事項整理 本問では「有理数」についての問いの後,「無理数」についての問いが続くと言った構成です。 まず,有理数の定義は答えられるでしょうか。これ自体を問われなくても,有理数が何かわかっていないとできない証明問題もあります。例えば,有名問題である「$\sqrt{2}$ が無理数であること」の証明は有理数であると仮定して矛盾が生じることを使って示すわけですから,有理数の定義がわかっていないと解けませんよね。 さて,本題の有理数の定義ですが,なんとなく「分数で表される数」とわかっているとは思いますが,正しい定義を理解しましょう。 有理数とは, 「整数 $m$ と $0$ でない整数 $n$ を用いて,$\dfrac{m}{n}$ と表される数」 であり,これが(1)の答えとなります。符号については分子 $m$ を整数とすれば,正負どちらもふれられているので,$n$ は「自然数」としても特に問題はありません。ただし,大学に入ると自然数に $0$ を含め

(数学基礎1-2)・数の種類

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数学の基礎のお勉強 第1章「命題と論証,数の世界」 第3講「数の種類」 「 数学の基礎のお勉強 」のシリーズの記事です。 更新をサボってました… 記事の意図は上のリンク先を参照してください。 中学校の数学までは,実数までしか扱っていません。 高校に入り,数学IIの最初まで学ぶと新たな数である「複素数」を学びます。 さて,複素数まで含めて,今まで学んできた数に関して正しく理解できているでしょうか? 次の問題を見てみましょう。 問題 $\mathbb{N,~Z,~Q,~R,~C}$ はそれぞれ自然数,整数,有理数,実数,複素数全体の集合を表すものとする。(1) 〜 (5) に関しては,空欄にあてはまるものとして最も適切なものを (選択肢1) の中から 1 つ選べ。ただし,同じ選択肢を何度用いてもよいものとする.(6) に関しては①,②の問いに答えよ。 (1) $\sqrt{3}~[\hspace{10mm}]~\mathbb{Q}$ である。 (2) $\mathbb{N} ~[\hspace{10mm}]~ \mathbb{Z}$ である。 (3) $\displaystyle \frac{\sqrt{4}}{2} ~[\hspace{10mm}]~ \mathbb{Q}$ である。 (4) $\mathbb{Z} ~[\hspace{10mm}]~ \mathbb{Q}$ である。 (5) $\mathbb{C} ~[\hspace{10mm}]~ \mathbb{R}$ である。 (6) ① 無理数の定義を答えよ。 ② $A$ を無理数全体の集合とする.また,集合 $X,~ Y$ について,$X$ が $Y$ の部分集合であるとき,集合 $Y \cap \overline{X}$ を $Y-X$ で表すとする。ただし,$\overline{X}$ は集合 $X$ の補集合を表す。①で述べた定義にもとづくと,\[ A = [\hspace{5mm} \mbox{ア} \hspace{5mm}] -  [\hspace{5mm}\mbox{イ}\hspace{5mm}] \]である。空欄ア,イに当てはまる最も適切なものを (選択肢2) の中から 1 つ選べ。1つずつ選べ。 (選択肢1) $({\rm a})\i

2017東工大(前期) [1](2019千葉大・前期[3]の類題)

2017年 東京工業大(前期)[1] ( 2019年 千葉大学・前期[3] の類題) 次の条件 (i), (ii) をともに満たす正の整数$N$をすべて求めよ。 (i) $N$の正の約数は12個である。 (ii) $N$の正の約数を小さい方から順に並べたとき,7番目の数は12である。 ただし,$N$の約数には$1$と$N$も含めるものとする。 解答 $N$ の正の約数を小さい方から順に並べたとき,$i$ 番目の約数を $d_i$ とする。条件 (ii) より,$N$ は 1, 2, 3, 4, 6, 12$(=d_7)$ を約数に持つので, \[ d_1=1,~ d_2=2,~ d_3=3,~ d_4=4 \] また,条件 (i) より \[ N= d_6 d_7 =12 d_6 \] さらに,$d_7=12$ より $6 \leqq d_6 \leqq 11$ であるから,$d_6 = 6,7, \cdots ,11$ として仮定して,それぞれについて考えていく。 (a) $d_6 = 6$ とする。$d_5=5$ であることが必要であるが,$N=12 \times 6=72$ は 5 を約数に持たないので,不適。 (b) $d_6 = 7$ とする。$12 \times 7=84$ の正の約数は小さい順に \[1,2,3,4,6,7,12,14,28,42,84 \] であるから,条件 (i), (ii) をともに満たす。 (c) $d_6 = 8$ とする。$12 \times 8=96$ の正の約数は小さい順に \[ 1,2,3,4,6,8,12,16,24,32,48,96 \] であるから,条件 (i), (ii) をともに満たす。 (d) $d_6 = 9$ とする。$12 \times 9=108$ の正の約数は小さい順に \[ 1,2,3,4,6,9,12,18,27,36,54,108 \] であるから,条件 (i), (ii) をともに満たす。 (e) $d_6 = 10$ とする。$12 \times 10=120$ の正の約数は小さい順に \[ 1,2,3,4,5,6,8,10,12,\dots \] より,不適。 (f) $d_6 = 11$ とする。$12 \times 11

2019年入試解答・第4弾「大阪大理系(前期)[3]」(解答編)

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2019年入試解答 第4弾「大阪大学・理系(前期)[3]」(解答編) 問題 実数 \(s,~t\) が \(s^2+t^2 \leqq 6 \) を満たしながら変わるとき,\(xy\) 平面上で点 \( (s+t,~st) \) が動く領域を \(A\) とする。このとき以下の問いに答えよ。 (1) \( (2,~\sqrt{2}) \) が領域 \(A\) の点かどうか判定せよ。 (2) \(A\) を図示せよ。 (3) \(A\) を \(x\) 軸のまわりに1回転してできる回転体の体積を求めよ。 実はこのブログの記事は元々は通常のLaTeXで作成した後で,ブログに移植していました。今回は図もあり,移植が面倒なのでpdfを画像で貼り付けます。 感想等は,別記事にて。 とりあえず,(3)の最後の計算はかなりキツいですね…(泣)

オリジナルセンター演習①(2014・学習院[経済]・改題)

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PDFはこちらからDL可!(Google Drive) この問題は2014年の学習院大学・経済学部の入試問題の解答例③をセンター向けに改題したものです。 誘導がわかりにくいかもしれませんが… 問題は上のリンクを,解答は この問題を最初に取り上げた記事 の解答例③を参照してください(配点は考えていません…)。 演習する過去問が尽きたら,腕試しに解いてみてください。

2019年入試解答・第1弾「東大理系・第1問」(補足・感想編)

東大理系(前期)・第1問  次の定積分を求めよ。 \[ \int_{0}^{1} \left( x^2 + \dfrac{x}{ \sqrt{1 + x^2} } \right) \left( 1 + \dfrac{x}{ (1 + x^2) \sqrt{1 + x^2} } \right) ~dx \] 参考資料 永島先生ポイント集 No.3401 No.3451 高校数学の美しい物語「 高校数学における8つの線形性の例 」 感想(補足・19/03/14更新) 「なんだ,ただの定積分じゃないか」とか「超簡単じゃないか」,「東大もここまで落ちたか」とか言われていますが… まぁ,「東大理系数学」と考えると,確かに面白みが少ないかもしれないですね。 ただ,定積分の計算方法が定着できているか確認するのに持ってこいだとは思います。 高校の数IIIの定期テストに出てきそうですね。 いろんな予備校の解答速報や受験情報サイトで解答が出ていますが,とりあえず私なりの解答例を載っけてみます。 (以下,19/03/13更新) さて,以下は数学IIIの問題が「解説を見ると解けるが,自力では解けない」という人に向けたアドバイスです。 本問の解答の方針としては,まず被積分関数 \[ \left( x^2 + \dfrac{x}{ \sqrt{1 + x^2} } \right) \left( 1 + \dfrac{x}{ (1 + x^2) \sqrt{1 + x^2} } \right) \] を展開するところから着手すると思うのですが,「 なぜ展開するのか 」ということを考えた人はいるでしょうか? これは積分の性質が大きく関わっています。 $\alpha,~\beta$ を定数として, \[ \int_a^b \{ \alpha f(x) + \beta g(x) \}~dx = \alpha \int_a^b f(x)~dx + \beta \int_a^b g(x)~dx  \] が成り立ちます(永島先生ポイント集のNo.3401も参照)。 この性質は積分だけでなく,ベクトルや $\Sigma$ 計算などでも学んだことがあると思います(高校数学の美しい物語の リンク も参照)。

2019年入試・数学解答例

2019年入試・数学解答例 目次(更新予定記事) 東京大学・理系(前期)第1問 解答編 補足・感想編 千葉大学(前期)[3] (類題)2017年 東京工業大学(前期)[1] 上智大学・TEAP利用(理系)[1] (参考)2009年 千葉大学(前期)[6] 大阪大学・理系(前期)[3] 解答編 補足・感想編 早稲田大学・理工学部 [ II ] (注)ご存知だとは思いますが,3学部をまとめて理工学部としています(基幹理工学部,創造理工学部,先進理工学部)。 他にも更新する可能性があります。 解答例を載せてほしい問題があれば,コメントしていただけると幸いです。

(数学基礎1-1)・命題とは

数学の基礎のお勉強 第1章「命題と論証,数の世界」 第1講「命題とは何か」 「 数学の基礎のお勉強 」のシリーズ?の最初の記事です。 記事の意図は上のリンク先を参照してください。 とりあえず,問題から入ります。 問題 (1) 命題の定義を答えよ。 (2) 次のうち,命題でないものをすべて答えよ。 (a) 実数 $x$ について,$x>0$ ならば $|x|=x$ である. (b) 新潟市は政令指定都市である. (c) $0.1^4$ は $0.2^5$ よりも大きい数である. (d) 岩手県は面積の大きい都道府県である. (e) 実数 $x$ について,$x^2<a^2$ ならば $x<a$ である. (f) $6.0 \times 10^{23}$ は大きい数である. 解答・解説 命題とはなんでしょうか? おそらく多くの人が,センター数学IAの必要条件・十分条件の検討の問題の対策で目にすると思うので,条件 $p,~q$ を用いて「$p$ ならば $q$ と表せる何か」と認識していることが多いのではないでしょうか? 残念ながら,必要条件・十分条件でも命題を使います。 では,命題の正しい定義は何かというと… 真偽が明確に定まる記述 で,これがそのまま(1)の解答です。例えば,次の2つの文章を考えてみましょう。 (A)「佐藤さんは身長がクラスの平均より20cmも高い」 (B)「佐藤さんは身長が高い生徒である」 (A)については,(クラスの平均の定義が曖昧とかは抜きにして)「そうだ/そうでない」といえますよね? しかし,(B)は「何を以って身長が高い」というのかが明確にいうことができません。 したがって,(A)は命題ですが,(B)は命題ではありません。 これがわかると,(2)の解答は「 (d)と(f) 」ということになります。それぞれの真偽も含めて解説するので,以下を参照してください。 (a) 命題であり,真である。 (b) 命題であり,(記事掲載時では)真であ。 (c) 命題であり, \[0.1^ 4 = 1.0 \times 10^{-4},~0.2^5 = 3.2 \times 10^{-4}  ~~~~ \therefore 0.1^4 <

数学の基礎のお勉強

このシリーズについて ここでは,参考書に載ってはいるけど重要視されず,多くの学校や予備校の授業でスルーされてしまうところを扱っていきたいと思います。本記事には内容は書かず,リンクのみ貼っていきます。 「数学の基礎のお勉強」というタグをすべての記事につけています。 また,シリーズトップというタグをこのページに付けます。 リンク(記事が完成し次第,リンクを貼っていきます) 第1章…命題と論証,数の世界 第1講:命題とは何か 第2講:数の種類 第3講:有理数と無理数① 第4講:有理数と無理数② 第5講:有理数と無理数③ 構成(予定) 第1章…命題と論証,数の世界 数学IA範囲(で理解できると思います) 数学は「 論理的思考力 」を身に付けるための学問です。私立文系志望で数学なんかもうみたくないという人も見て欲しいところです。 正しく論証する・(数学の)議論をする ということを身に付けましょう。大学の数学では,かなり厳密に議論しますが,高校数学だと(教える人が)軽視している気がします。 この章の最後では 「無理数の無理数乗は無理数か」 という命題について考えます。ちなみに,真偽どちらかわかりますか? (命題って何だ?っていう疑問にもお答えします。) 第2章…定義の確認と定理・公式の証明 「三角関数や微分係数とは何か?」 のような,数学の定義はきちんと理解していますか?分かっていないということは,それは 何だかよく分からないものを扱っている ということになります(この理解ができずに数学の授業が進んでしまうというのも数学が苦手になる一因です)。 「1/6公式」や「三角関数の合成」, 公式を鵜呑みにしていませんか? (本当にそれらの公式が成り立っていることを確かめましたか?) 公式の証明を理解すれば,公式はただ暗記するものではないということがわかると思います(受験対策的には暗記した方がよい公式もありますが,それは数学本来の考え方ではありません)。

2019年入試解答・第3弾「上智大・TEAP利用(理系)[1]」

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上智大学・TEAP利用(理系)[1] $\log x$は$x$の自然対数,$e$は自然対数の底を表す。 (1)正の実数$x$に対して \[ x - \frac{x^2}{2} < \log (1+x) < x - \frac{x^2}{2} + \frac{x^3}{3} \] が成り立つことを示せ。 (2)自然数$n$に対して \[ a_n = \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^n \] とおく。 (i) 自然数$n$に対して \[ 1 - \frac{1}{2n} < \log a_n < 1 - \frac{1}{2n} + \frac{1}{3n^2} \] が成り立つことを示せ。 (ii) 不等式 \[e^{0.9} < a_n \] を満たす最小の自然数$n$を求めよ。 参考資料 永島先生ポイント集・ No.3240 感想 上智のTEAP利用入試は2015年入試から始まっていますが,理工学部の第1問では証明・論証問題が頻出です。また,2014年以前の理工学部A方式の数学でも,証明問題(特に公式の証明)が出題されていました。 (おそらく各大学での度重なる出題ミスの影響で)本年度入試より,多くの大学が入試の解答(例)や出題意図を公表するようになりました。上智大学の入試は全試験の解答・出題意図が既に公開されているので,本問の部分を抜粋します。 >>>>>>>>> 数列 $\left\{ 1 + \dfrac{1}{n} \right\}$ は自然対数の底 $e = 2.71 \cdots$ に収束するが, 本問ではこの数列がどの程度の速さで $e$ に収束するかについて考えることをテーマとしている。問(2)(ii) が主となる問であり,問(1)および問(2)(i)はそれを解くための誘導である。 (1)微分・積分を用いて, 関数の値の増減や大小を考察し, そこから不等式を論理的に導く力を問う。 (2)(i) 対数関数の性質を用いれば, ここで問われている不等式は問(1)の不等式の特別な場合であることがわかる。対数関数についての理解力, および洞察力を問う。 (ii)対数関数が単調に増加する関

いろんな解法で解いてみた(2014年・学習院大<経済学部>・第2問)

2019年の入試解答掲載は一旦置いといて…(書き溜めしてた分が無くなっただけです) 今日は題名の通り,とある入試過去問に触れます。 【2014年 学習院大学・経済学部】 平面上の 2 点 $\rm P(1,~2),~Q(3,~2)$ と直線 $L:~ y = ax + 1$ に対して,$\rm P$ と $L$ の距離を $p$ とし,$\rm Q$ と $L$ の距離を $q$ とする。$a$ が実数全体を動くとき,$p^2 + q^2$ の最小値と,最小値を与える $a$ を求めよ。 参考資料 永島先生ポイント集 No. 2030 No. 2050  ←三角関数の合成が加法定理の逆を利用していることもきちんと説明がなされています。そこのアナタ,なんとなく三角関数の合成をしていると,チコちゃんに叱られますよ(笑) No. 2415  ←公式の証明も要確認(過去に,大阪大文系と上智理工で証明が問われています) 解答例① 直線 $L$ の方程式 $y=ax+1$ は $ ax-y+1=0 $ と変形できるので \begin{eqnarray*} &~& p=\frac{|a \cdot 1 - 2 + 1|}{\sqrt{a^2+1}},~~q=\frac{|a \cdot 3 - 2 + 1|}{\sqrt{a^2+1}} \\ &\therefore~& p^2=\frac{(a-1)^2}{a^2+1},~~q^2=\frac{(3a - 1)^2}{a^2+1} \end{eqnarray*} である。$f(a)=p^2+q^2$ とおくと \begin{eqnarray*} f(a)&=&\frac{(a-1)^2+(3a-1)^2}{a^2+1}\\ &=&\frac{10a^2 - 8a+2}{a^2+1}\\ &=&10 - 8 \cdot \frac{a+1}{a^2+1} \end{eqnarray*} である。 \begin{eqnarray*} f'(a) &=& - 8 \cdot \frac{(a^2+1) - (a+1) \cdot 2a}{(a^2+1)^2} \

2019年入試解答・第2弾「千葉大(前期)[3]」

千葉大学(前期)[3] 正の約数がちょうど$m$個であるような,1900以上の自然数の中で最小のものを$d_m$とする。 (1) $d_5$を求めよ。 (2) $d_{15}$を求めよ。 感想 第2弾は千葉大の整数問題です。この大学では旧課程時代から整数問題が出ています。 千葉大の過去問を解いたことのある人は知っていると思いますが,この大学の数学は10〜13題程度出題され,その中から自分が受験する学部・学科の問題を解答する形になっています。ちなみに,試験当日は試験番号が入った解答用紙が渡されます。 その中でも本問を解答対象となっていた学部・学科は 国際教養学部 教育学部(受験科目に数学がある分野・コースすべて) 文学部 法政経学部 園芸学部・食料資源経済学科 の文系の数学受験者全員でした。 さて,この問題は(個人的には)「約数とは何か」と問われている気がします。 求める数がいずれも「正の約数は奇数個持つ」ということから「平方数」であるということに気が付いたでしょうか? それが分かれば,約数の個数の公式云々をいわなくても解答できます。 「具体的に値を入れて試しに考えてみる」 と,意外と簡単に答えを導き出せると思います。 最短ルートで行くと,答えを出すのに5分+解答書くのに5分=計10分といったところでしょうか。 ちなみに類題が 2017年の東工大・前期 で出題されていたので,その問題と解答例も載せます。 (→ 別記事 に移動しました) 解答例 一般に,ある正の整数 $N$ の素因数分解が $n$ 個の相異なる素数 $p_1,~p_2,~p_3, ~\dots,~p_n$ を用いて, \[ N = p_1^{a_1} p_2^{a_2} p_3^{a_3} \dots ~p_n^{a_n} ~~(a_1,~a_2,~a_3,~\dots,~a_n:\mbox{正の整数}) \] と表せるとき,$N$ の正の約数の個数は \[ (a_1+1)(a_2+1)(a_3+1)\dots(a_n+1) \] である。 (1) $d_5$は正の約数を5個持ち,5は素数であるからその素因数分解は素数$p$を用いて \[ d_5 = p^4 \] と表される。$5^4=625,~7^4=2401

2019年入試解答・第1弾「東大理系・第1問」(解答編)

東大理系(前期)・第1問  次の定積分を求めよ。 \[ \int_{0}^{1} \left( x^2 + \dfrac{x}{ \sqrt{1 + x^2} } \right) \left( 1 + \dfrac{x}{ (1 + x^2) \sqrt{1 + x^2} } \right) ~dx \] 感想・補足を別記事に移しました(2019/03/14)。 =解 答例= \begin{eqnarray*} f(x) &=& \left( x^2 + \dfrac{x}{ \sqrt{1 + x^2} } \right) \left( 1 + \dfrac{x}{ (1 + x^2) \sqrt{1 + x^2} } \right) \\ \end{eqnarray*} とおくと, \begin{eqnarray*} f(x)&=& x^2 + \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} + \frac{x^3}{\left( 1 + x^2 \right)\sqrt{1+x^2}} + \frac{x^2}{\left(1 + x^2 \right)^2} \\ &=& x^2 + \frac{x}{\sqrt{1+x^2}} + \frac{x(1+x^2)-x}{\left( 1 + x^2 \right)\sqrt{1+x^2}} + \frac{x^2}{\left(1 + x^2 \right)^2} \\ &=& x^2 + \frac{2x}{\sqrt{1+x^2}} - \frac{x}{\left( \sqrt{1+x^2} \right)^3} + \frac{x^2}{\left(1 + x^2 \right)^2} \end{eqnarray*} である。ここで, \begin{eqnarray*} a &=& \int_0^1 x^2~dx~, ~~ b = \int_0^1 \frac{2x}{\sqrt{1+x^2}} ~dx ~,~~ c = - \int_0^1 \frac{x}{\left( \sqrt{1+x^2} \right)^3}~~,\hspace{2mm} d = \in

本ブログについて

みなさん,こんにちは。 昨今は受験に関する知識・情報をネットで配信されていることが増えてきていますが,その流行?に乗ってみようということで始めて見ました。 主に数学の問題で面白そうなものを独断と偏見で掲載していきます。 自己紹介 某学習塾でアルバイトをしている理系大学院生です。 現役で受けたときは受験校全てに落ち,駿台で浪人。 国公立志望で,駿台でも国公立理系コースに所属。 国公立はダメだったが,現役のときに不合格だった某私大に辛うじて合格し,そのまま入学。大学院にも進学。 受験科目 得意科目:英語 苦手科目:理科(特に化学),国語(センター) その他受験での使用科目 理系科目:数学(旧課程IA・IIB・IIIC),物理(旧課程I・II) 文系科目:現代社会(センター) ブログを始めたきっかけ 近年のICT技術の発達に伴い,インターネットでの受験情報の発信が有効であると考えました(動くグラフとか3次元の図形も載せられますし)。 既に多くの予備校の先生もICTを活用なさっています。 (例: 駿台予備学校:永島豪先生・ポイント集 ,先生ご本人に許可を得てリンクを掲載しています) また,個人的にLaTeXで文書を書くのが趣味で,アルバイト先の塾でもLaTeXを使用することがあります。 LaTeXで作った内容をどこかに保存していきたいというのもブログを始めた理由の1つです。 さらに,そのうち,アルバイト先へBloggerを導入できないかと考えており,試験的に始めたという部分もあります。