2019年入試解答・第2弾「千葉大(前期)[3]」
千葉大学(前期)[3]
正の約数がちょうどm個であるような,1900以上の自然数の中で最小のものをd_mとする。
(1) d_5を求めよ。
(2) d_{15}を求めよ。
(1) d_5を求めよ。
(2) d_{15}を求めよ。
感想
第2弾は千葉大の整数問題です。この大学では旧課程時代から整数問題が出ています。千葉大の過去問を解いたことのある人は知っていると思いますが,この大学の数学は10〜13題程度出題され,その中から自分が受験する学部・学科の問題を解答する形になっています。ちなみに,試験当日は試験番号が入った解答用紙が渡されます。
その中でも本問を解答対象となっていた学部・学科は
- 国際教養学部
- 教育学部(受験科目に数学がある分野・コースすべて)
- 文学部
- 法政経学部
- 園芸学部・食料資源経済学科
さて,この問題は(個人的には)「約数とは何か」と問われている気がします。
求める数がいずれも「正の約数は奇数個持つ」ということから「平方数」であるということに気が付いたでしょうか?
それが分かれば,約数の個数の公式云々をいわなくても解答できます。
「具体的に値を入れて試しに考えてみる」と,意外と簡単に答えを導き出せると思います。
最短ルートで行くと,答えを出すのに5分+解答書くのに5分=計10分といったところでしょうか。
ちなみに類題が2017年の東工大・前期で出題されていたので,その問題と解答例も載せます。
(→別記事に移動しました)
解答例
一般に,ある正の整数 N の素因数分解が n 個の相異なる素数 p_1,~p_2,~p_3, ~\dots,~p_n を用いて,N = p_1^{a_1} p_2^{a_2} p_3^{a_3} \dots ~p_n^{a_n} ~~(a_1,~a_2,~a_3,~\dots,~a_n:\mbox{正の整数})
と表せるとき,N の正の約数の個数は
(a_1+1)(a_2+1)(a_3+1)\dots(a_n+1)
である。
(1)
d_5は正の約数を5個持ち,5は素数であるからその素因数分解は素数pを用いてd_5 = p^4
と表される。5^4=625,~7^4=2401より,
d_5 = 7^4 = {\bf 2401} ~~\cdots\cdots {(答)}
である。
(2)
d_{15}は正の約数を15個持つ。一般に,ある整数の正の約数の個数が奇数であるとき,その整数は平方数である。43^2=1849,~44^2=1936より,44以上の整数の平方の中で,正の約数を15個持ち,最小であるものを求めればよい。44^2 = (2^2 \cdot 11)^2 = 2^4 \cdot 11^2
より,44^2の正の約数の個数は3 \cdot 5=15である。
よって,
d_{15} = 44^2 = {\bf 1936} ~~\cdots\cdots {(答)}
である。
おまけ
d_2=1901であることを確かめよ。(解答例)
d_2は正の約数の個数が2個である整数,すなわち素数である。43^2=1849,~44^2=1936 より,1901が43以下の素数,すなわち2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,37,41,43
のいずれでも割り切れないことを確かめればよい。
\begin{array}{ll} 1901 = 2 \times 950 +1, ~& 1901 = 3 \times 633 +1, \\ 1901 = 5 \times 380 + 1, ~& 1901 = 7 \times 271 + 4, \\ 1901 = 11 \times 172 + 9, ~& 1901 = 13 \times 146 + 3, \\ 1901 = 17 \times 111 + 14, ~& 1901 = 19 \times 100 + 1, \\ 1901 = 23 \times 82 + 15, ~& 1901 = 29 \times 65 + 16, \\ 1901 = 31 \times 61 + 10, ~& 1901 = 37 \times 51 + 14, \\ 1901 = 41 \times 46 + 15, ~& 1901 = 43 \times 44 + 9 \end{array}
より,1901 は 43 以下のどの素数でも割り切れない。
よって,d_2 = 1901であることがわかる。
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