2019年入試解答・第3弾「上智大・TEAP利用(理系)[1]」



上智大学・TEAP利用(理系)[1]

$\log x$は$x$の自然対数,$e$は自然対数の底を表す。
(1)正の実数$x$に対して
\[ x - \frac{x^2}{2} < \log (1+x) < x - \frac{x^2}{2} + \frac{x^3}{3} \]
が成り立つことを示せ。
(2)自然数$n$に対して
\[ a_n = \left( 1 + \frac{1}{n} \right)^n \]
とおく。
(i) 自然数$n$に対して
\[ 1 - \frac{1}{2n} < \log a_n < 1 - \frac{1}{2n} + \frac{1}{3n^2} \]
が成り立つことを示せ。
(ii) 不等式
\[e^{0.9} < a_n \]
を満たす最小の自然数$n$を求めよ。

参考資料

永島先生ポイント集・No.3240

感想

上智のTEAP利用入試は2015年入試から始まっていますが,理工学部の第1問では証明・論証問題が頻出です。また,2014年以前の理工学部A方式の数学でも,証明問題(特に公式の証明)が出題されていました。
(おそらく各大学での度重なる出題ミスの影響で)本年度入試より,多くの大学が入試の解答(例)や出題意図を公表するようになりました。上智大学の入試は全試験の解答・出題意図が既に公開されているので,本問の部分を抜粋します。
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数列 $\left\{ 1 + \dfrac{1}{n} \right\}$ は自然対数の底 $e = 2.71 \cdots$ に収束するが, 本問ではこの数列がどの程度の速さで $e$ に収束するかについて考えることをテーマとしている。問(2)(ii) が主となる問であり,問(1)および問(2)(i)はそれを解くための誘導である。 (1)微分・積分を用いて, 関数の値の増減や大小を考察し, そこから不等式を論理的に導く力を問う。 (2)(i) 対数関数の性質を用いれば, ここで問われている不等式は問(1)の不等式の特別な場合であることがわかる。対数関数についての理解力, および洞察力を問う。 (ii)対数関数が単調に増加する関数であることから, 問(2)(i) の不等式を利用すること によって $a_1 < e^{0.9}~, a_2 < e^{0.9}~, a_3 < e^{0.9}~, a_4 < e^{0.9}~ , e^{0.9} < a_5$ が得られ, 求める $n$ が $5$ であることがわかる。論理的な思考力および表現力を問う。すべての問において, 解答が論理的かつ的確に表現されているかどうかを評価する。
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ということです。最小の自然数 $n$ の見当をつけるのは簡単なのですが,$n=5$ が論理的に導かれているかが勝負になりそうですね。
答案の添削教材としてはいい感じになりそうな気がします。

さて,解答例ですが今日は趣向を変えて手書きで書いてみました(手書きといっても,iPadとApple Pencilで書いたものですが)。
スタイラスペンだと綺麗に書くのが難しかったです…。



本問に関連して,$e$についての評価問題はいろいろあります。
ちなみにいくつか挙げると
  • 2009年 千葉大学(前期)[6]
  • 2012年 上智大学・理工学部(A方式)[1]
  • 2013年 同志社大学・全学部(理系型2/7)[IV]
  • 2015年 一橋大学・経済学部(後期)[6]
  • 2016年 東京大学(前期)第1問
です。
第2弾・千葉大の記事でわかったのですが,類題とその解答を同じ記事に載っけると,超長い記事になってしまい,見辛いのでこれからは別記事に移そうと思います。
記事ができたら,リンクを貼ります。

記事が出るまでに気になる人は調べてみてください。東大の問題は探せばすぐ出てくると思います。




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